新型コロナウイルスの水際対策として、クルーズ船に対して臨船検査が実施されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55265870V00C20A2MM0000/
検疫の定義について
僕も詳しくは知らなかったのですが、検疫は以下のように定義されるようです。
「検疫」とは、日本国内には常在しない感染症の病原体が、海外から船舶又は航空機を介して侵入するのを防ぐことを目的としており、その感染症の患者(感染が疑われる者を含む。)を発見した場合、診察、検査などを実施し、感染症の種類によっては、隔離、停留、消毒等の措置を講ずることとなります。
https://www.forth.go.jp/keneki/kobe/ship/quarantine.html
要約すると、以下のようになります。
- 日本国内に常在しない感染症の病原体の侵入を防ぐ
- その達成のために、飛行機や船舶を調査する
- 調査の結果問題がある場合は、隔離を含む措置を行う
現在の新型コロナウイルスの状況にマッチしていますね。
検疫には3種類が存在
さて、そんな検疫ですが、検疫の方法もいくつかに分かれています。
船舶の検査に限ると、以下の3種類に分かれるようです。
無線検疫
- 船舶からの情報に基づき、書類上で検疫を行う
- ほとんどの船舶に対しこの手法が適用される
- 検疫官が船に乗り込むことはない
着岸検疫
- 船舶を港に着岸させた上で検疫を行う
- この手法が適用されることは稀
- 検疫官は陸上から船に乗り込み検査を行う
臨船検疫
- 船舶を沖合に停泊させたまま検疫を行う
- この手法が適用されることは極めて稀
- 検疫官は専用の船で対象の船舶に近づき、船に乗り込み検査を行う
臨船検査は最も危険度が高い場合に実施される
上記のように、臨船検疫は最も手間のかかる方法です。故に適用されることも稀ですし、逆に考えればそれだけ重大な事態であると認識されていると言えるでしょう。
新型コロナウイルスに関する情報はまだまだ断片的で、重篤化率や致死率、感染力についてもハッキリしたことは分かっていないようです。そのため万が一のための予防的措置として、臨船検疫が適用されたと思われます。
検疫官, 乗客乗員にかかる負担は甚大
今回のケースでは乗客乗員は日本に上陸できないまま船内に閉じ込められている状態。当然体力も消耗するでしょうし、閉鎖された環境であるため感染が拡大する可能性も高いでしょう。
そして忘れてはいけないのが検疫官にかかる負担。検疫官は船内に閉じ込められることはないでしょうが、感染の可能性のある方々と複数回の接触を強いられます。そう考えると乗客乗員よりも感染のリスクは高いのかもしれません。
検疫完了後も潜伏期間内は隔離措置が取られる可能性が高く、新型コロナウイルスに対する抵抗反応は相当のものだと感じます。