スペースX社が開発するロケット、ファルコン・ヘビーが商業打ち上げに成功したようです。打ち上げの様子をYouTube で振り返ってみましょう。
Elon Musk: Tesla, SpaceX, and the Quest for a Fantastic Future (English Edition)
ファルコン・ヘビーはスペースX 社が打ち上げるロケット
ファルコン・ヘビーはアメリカの宇宙開発企業、スペースX社が開発した大型ロケット。スペースX社はテスラの創業者として知られるイーロン・マスク氏が代表を務める企業で、これまでに様々なタイプのロケットの打ち上げに成功しています。
その中でファルコン・ヘビーは最も大きなタイプのロケット。なかなかイメージすることは難しいですが、打ち上げ能力は以下のようになっています。
- 低軌道:63,800 kg
- 静止軌道: 26,700 kg
- 火星軌道:16,800 kg
火星軌道に16t 以上の構造物を送り込める能力は尋常ではない様子。アメリカが国を挙げて開発した最も重いものを打ち上げられるサターンVロケットの半分弱に匹敵するもので、一企業が開発したロケットとしてはもちろん世界最重量となります。
試験飛行時にはなんと代表を務めるイーロン・マスク氏の愛車を宇宙に打ち上げ。その様子はYouTube を通して生配信され、無事に成功しました。
初の商業打ち上げ
素晴らしい打ち上げ能力を誇るファルコン・ヘビーですが、これまで行われてきたのは試験飛行のみ。今回の打ち上げが初めての商業打ち上げとなりました。(ファルコン・ヘビーが必要になるほどの重量物の打ち上げ需要がなかったのかも?)
打ち上げられるのはサウジアラビアの通信会社の通信用衛星。通信用衛星ということであれば、おそらく静止軌道へ投入されることになるのでしょう。ファルコン・ヘビーが必要なほどのサイズと重量なのでしょうね。
打ち上げは問題なく完了。発射から3分弱で2機の補助ブースターの切り離しが完了。さらにその1分後にメインのブースターの切り離しも完了し、ロケットは無事に自由航行を開始しています。
3機のブースターの着陸に成功
ファルコン・ヘビーのすごいのはここから。先程宇宙空間で3機のブースターが地上に戻ってきて、地上に着地するというのです。通常のブースターは海中に落として使い捨てとするのですが、ファルコン・ヘビーは再利用が可能なのですね。
まずは2機の補助ブースターが地上に向かって飛行。微妙に位置調節を行いながら、2機同じ軌道で飛行していきます。地上に記されたマークの直前でブースターが再び噴射。両機体は減速しながら着地しました。ロケットの発射の逆再生をみているようですね。
メインブースターの着陸目標は海上。海に浮かべた大型船に着地目標があるようです。海上では波による揺れもありますし、海流によって微妙に流されることもあるので地上より難易度は上昇。ですが無事着地できたようです。
YouTube
実はこのメインブースターの着陸は試験時には失敗していたのでこれが初成功。着地の瞬間の映像は乱れてしまっていますが、歴史的な瞬間と言えるでしょう。