Google は2019年、Google+ と Inbox という2つのサービスを終了させました。それぞれはどのようなサービスで、なぜ終了となったのでしょうか?

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Google+ はFacebook のようなSNSサービス
Google+ は2011年6月に開始されたサービス。当時流行し始めていたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS) のGoogle 版といったところで、開始当初は当時人気絶頂であったAKB48 を起用したキャンペーンが大々的に行われ、Google が本気でFacebook に対抗する姿勢が感じられました。
ところがサービスの利用者数は低調に推移。Facebook と比較して何が違うのか分かりにくく、差別化を図ることに失敗したことが原因だと僕は考えています。わざわざFacebook から移行したり、2つのアカウントを持つほどのメリットが見いだせなかったということなのでしょうね。
それに追い打ちをかけたのが2018年に発覚した個人情報流出事件。個人情報流出自体に問題があることはもちろん、流出したことを隠蔽していたのではないかとの報道もあり、Google+ というサービス自体が大きな批判を受ける事となりました。
その結果、Google+ の個人向けサービスは 2019年4月2日に終了。ただし、企業向けのサービスはまだ継続されるようです。
Google+ のサービス終了に関するよくある質問 – Google+ ヘルプ
https://support.google.com/plus/answer/9217723?hl=ja

Inbox はGoogle が新たに提案したメールアプリ
Inbox は2014年10月に開始された比較的新しいサービス。無料メールサービスとして世界最大のシェアを誇るGmail を持つ Google が、実験的な機能を先行実装する場として用意したのがInbox でした。僕はかなり最初の方からInbox を利用していた記憶があります。
Inbox が革新的だったのは、ユーザーインターフェース。メールを閲覧できるサービスという意味では、当時クラシカルなテキストベースで動作していたGmail と同様だったのですが、大量のメールを瞬時にアーカイブしたり振り分けたりできる機能は、多くのメールを処理する必要がある方々にとっては素晴らしいものでした。
Inbox は革新的である反面とっつきづらい部分もあったため、利用している方は少数派だったことは間違いありません。ですが、それらの機能の多くは高く評価され、Gmail の機能として採用されて現在に至っています。
Inbox からGmail への以降はGoogle が公開している移行ガイドを参考に行うことが可能。今後Gmail がより良いメールサービスとして成長することを期待したいところです。
lnbox から Gmail への移行 – Inbox by Gmail ヘルプ

Google はサービスの終了を頻繁に行っている
Google が展開するサービスの終了はそれほど珍しいことではなく、これまでも以下のような多くのサービスを終了させてきました。
そんな終了となったサービスを振り返ることができるのが「Google Graveyard」。日本語に直訳すると「Google の墓場」で、これまで終了となったサービスや、これから終了となる予定のサービスが、墓標や断頭台という形で並べられています。
現時点で並んでいるのは合計158。この数字を見るだけでもGoogle が非常に多くのサービスを終了させて来たことが分かるでしょう。
Google Graveyard – Killed by Google

Google が積極的にサービスを終了を行う姿勢は僕は肯定的にとらえています。不採算部門を切ることができず、ズルズルと沈んでいく企業は世界中にたくさん存在するためです。Google が常に世界最先端技術に投資できるのは、失敗した際の損切りが早いからと言えるのではないでしょうか。