有機ELと液晶はなにが違うのか これからのスタンダードは有機EL?

スマートフォン

スマートフォンやテレビなどでよく耳にする有機EL。液晶とはなにが異なり、どんな特徴があるのでしょうか?


パナソニック 55V型 有機EL テレビ VIERA TH-55FZ950 4K 2018年モデル

液晶ディスプレイの登場でテレビが一気に薄型化

薄型テレビの代名詞として普及した液晶テレビ。テレビといえば大きな箱型というそれまでの常識を覆し、今では市販されているテレビのほとんどは液晶テレビという状態になりました。地上アナログ放送の終了と地上デジタル放送の開始という大きなイベントもありましたが、あっという間に家庭のリビングの景色が代わりましたね。
以前のディスプレイの主流だったブラウン管は電子ビームを蛍光体に照射することで発光する原理で、電子ビームを曲げるスペースが必要なため薄型化が困難でした。
一方液晶ディスプレイは、光の三原色である赤,緑,青の光を画面の後ろ側から常に光らせておき、必要に応じて液晶シャッターを閉じることで必要な色だけを人間の目に届かせる方式。電子ビームを使用しないため曲げるための距離も必要なくなり、薄型化が可能になったのですね。

液晶ディスプレイに対する有機Eディスプレイの利点は?

画期的な薄型化を実現した液晶ディスプレイですが、弱点もありました。後ろからの光を必要に応じて液晶シャッターで遮ることで色を表現しているのですが、液晶シャッターは完全に光を遮断することができず、少しだけ光が漏れてしまいます。その影響が最も感じられるのが黒色の表現で、液晶ディスプレイでは「漆黒」を表現できずぼんやり明るくなってしまうのですね。
その弱点を克服したのが有機ELディスプレイ。有機ELディスプレイでは光をシャッターで制御するのではなく、光そのものをオンオフすることが可能になっています。光をオフにしてしまえばそれは完全な黒、「漆黒」です。そのため有機ELディスプレイは液晶ディスプレイとくらべて色表現力に優れ、より美しい映像表現が可能と言われています。

これからのスタンダードは有機ELにシフトするのか?

液晶ディスプレイと比較して映像表現の面でアドバンテージを持つ有機ELですが、これからのスタンダードとなっていくのでしょうか?
僕の予想はYes。ただし時間がかかるのではないかと考えています。その理由は以下の通り

  • ブラウン管 -> 液晶 と比べてインパクトが少ない(薄型テレビであることに変わりはない)
  • 地上アナログ放送終了のような大きなイベントがない
  • 有機ELディスプレイを製造できるメーカーは限られていて、価格低下が緩やかである
  • 一言でいうと一般の方々が買い換えるほどの理由がないということですね。ただ映像表現が優れることは明らかなので、液晶はだんだんと少なくなっていくでしょう。

液晶と有機ELの差を体感したい方は、ぜひ家電量販店に出向いて下さい。同じ映像で見比べれば、明らかな差を感じることができますよ。(ただし値段は倍以上ちがう)