MDはどこへ消えた? 今や風前の灯火です

PC

カセットテープやCDに続く音楽用メディアとして登場したMD。今では見かけることもほとんどありませんが、どこへ行ってしまったのでしょうか?

MDは最新技術を満載したメディアだった

MDとはMiniDiscの略称。カセットウォークマンで世界を魅了したソニーが1992年に製品化した、カセットテープやCDに続く音楽用メディアです。カセットテープのようにケースに入っていて扱いやすく、CDとほぼ同等の記憶容量を実現しながらサイズは小さくなるなど、ハード面ではカセットテープやCDの上位互換と言える存在でした。
再生用のポータブルプレイヤーもCD時代と比べると大幅に小型化。無理せずパンツのポケットにしまえるサイズとなり、MD登場後は外出先で音楽を聴く人が増えた印象を持ちましたね。(僕も当時所有していたが結構かっこよかった)

肝心のソフト面で大きな躓き

MDは音楽を聴くためのものなので音楽の充実(=ソフト面)が非常に重要。ですが、MDはそこで大きく躓いてしまいました。ソニーはCDで販売されている楽曲を徐々にMDに置き換えていく計画だったようなのですが目論見通りには進まず。MD販売開始からしばらく経ってもほとんどの楽曲がCDで提供されている状態だったのですね。
そんな状況を見ていた消費者側はMDをCDをコピーしてコンパクトに持ち歩くものとして認識。CDの上位互換として登場したはずのMDは、CDからコピーされる下位の存在となってしまいました。しかもそのコピーにも色々問題が存在。CDからMDへのコピーは相当時間がかかるうえ音質も劣化するため、一般層にもオーディオマニア層にも響きにくいものになっています。

2001年に登場したiPodが市場を席巻

そんな燻っていたMDにトドメを刺したのはiPodの出現。MD1枚にはせいぜい10数曲しか録音できなかった音楽が、iPodには数千曲以上保存可能になるという圧倒的なブレイクスルーをもたらしました。
iPodも発売当初は「誰もそんな数の曲を持ち歩かない」と揶揄されていたのですが、その後の大ヒットはご存知の通り。誰もがiPodに代表されるMP3プレイヤーを持つようになり、ディスクやカセットを取り替える必要のあるCDやMDプレイヤーを持ち歩く人はほとんどいなくなりました。現在MDのカセットは生産中止となり、プレイヤーは1社のみが製造を続けている状況のようです。

MDを駆逐したiPodも現在では販売はほとんど収束。時代はスマートフォンを利用した、Apple Musicに代表される定額制音楽サービスにシフトしています。時代の移り変わりは速いものですね。