太古の精密機械? アンティキティラ・デバイス

エンジニアリング

世界中に存在すると言われるオーパーツ。その中でも機能的で実用的、かつ当時の技術での製造が困難なアンティキティラ・デバイスは、僕が最も興味のあるオーパーツです。

オーパーツって?

オーパーツは日本語で無理やり表すのであれば「時代錯誤遺物」。遺跡などから発掘された、当時の技術水準では作成することができないであろうものを指します。
有名なものでは、とてつもなく巨大ではるか上空からでないと把握できない「ナスカの地上絵」や1500年以上屋外で風雨に晒されているにもかかわらず錆びることのない「テリーの鉄塔」など、世界各地に存在しています。その目的や製造方法が分からないものも多く、ロマンを掻き立ててくれる存在です。
一方、戦艦大和の主砲や宇宙飛行士の船外活動用衣服など、当時は作れたものが現代では作れなくなったものはロストテクノロジーと呼ばれ、オーパーツとは明確に区別されます。人間が作ったことが歴史上明らかなものは、ロストテクノロジーに分類されるようです。(昔作れたものが今では作れなくなることは割とよくある)

アンティキティラ・デバイス

数あるオーパーツの中でもアンティキティラ・デバイスの面白いところは、使用方法が概ね判明しているところ。1901年に沈没船から回収された歯車のような形状のデバイスは、当時は何の用途に使われていたか全く不明だったようですが、後世でとんでもない物だと判明しました。
その正体は天体の軌道を計算するアナログコンピュータ。失われた部分を含めると30以上の歯車が組み合わさって動作し、地動説に基づいて各天体の位置を正確にシミュレートします。
現代の技術では同様のものを製作できるようですが、このデバイスが製作されたと思われるのは2000年以上前の紀元前。当時の技術レベルではこのデバイスを設計することすら難しいと思われ、ましてや実際に製作するのは相当に困難と思われます。

実際に作成してみた

YoutTubeでは現代の技術でアンティキティラ・デバイスを再現した動画が公開されていて、現代版を見ると精工そのもの。コンピュータをフルに活かした3DCADを用いて設計され、各部品は高級機械式時計のように精密です。特殊技能を持つ人でないと組み立ては困難でしょうね。(僕も当然不可能)

ロマンあふれるオーパーツ。その多くは最新技術によって嘘が暴かれたり、そんなに大したものではなかったと判明していますが、それでもまだ残る不可解なもの達は僕たちへの宿題なのかもしれません。