晴れた夜の次の朝は寒い? 放射冷却が関係しています

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今年も終わりが近づき、だんだんと冷え込む日が増えてきました。特に朝方の冷え込みは一段と厳しいものがありますね。
そして、よく晴れた日の朝ほど冷え込みが厳しい印象はないでしょうか?それには放射冷却が関係しているようです。

1日の気温の動き

皆さんもご存知の通り、地表の気温は一定していません。昼は暖かく夜は寒いですよね。
気温変化の要因はとても多く複雑ですが、おおざっぱに言うと以下のようになります。

  • 日中 : 太陽の熱で温まる
  • 夜間 : 放射冷却で冷える

太陽の熱はいいとして、ここで気になるのは放射冷却。放射冷却とはどんなものなのでしょうか?

熱は宇宙に逃げていく

放射冷却とは、これまたおおざっぱに言ってしまえば、地球から宇宙へ熱が逃げていく現象。
地球の気温がどんなに低くても-40℃くらいなのに対して、宇宙の温度は-270℃程度。これだけの温度差があれば熱が逃げて冷えるのも当然でしょう。
(宇宙には大気がないため、気温ではなく温度という表現になる)
放射冷却は温度の移動とも言えるため、地球と宇宙の間に障害物があったりすると、放射冷却は弱くなります。具体的には雲や水蒸気。曇りや雨の夜は放射冷却が起こりにくいのですね。
反対に考えると、よく晴れた夜は放射冷却の効果が大きく、よく冷えることが分かります。
なお、放射冷却は常に起こっているのですが、日中は太陽が温める力の方が大きいため、気温が上昇します。

暖かい朝,寒い朝の条件は?

太陽によって気温が上がり、放射冷却によって気温が下がることを考えると、最も暖かい朝と最も寒い朝の条件を考えることができます。

最も暖かい朝
  • 日中 : よく晴れて気温が上昇
  • 夜間 : 曇りや雨で放射冷却が弱い
最も寒い朝
  • 日中 : 曇りや雨で気温があまり上がらない
  • 夜間 : よく晴れて放射冷却が強い

日本の冬は雨が少なくよく乾燥することも、放射冷却を強めて気温の低下に繋がっているようです。

日本の冬は少雨,乾燥と寒くなる条件が揃っています。ただその条件は星がよく見える条件でもあり、天体観測を行うには最適です。(防寒には要注意)