月はどうやって誕生した? 地球の一部だったという説が有力です

宇宙

地球から最も近い天体である月。普段何気なく見ている月ですが、いつからそこにあり、なぜ地球の周りを回っているのでしょうか?

月はどうやって誕生したのか?

月は地球から最も近い天体であることから古くから研究の対象とされていて、月がどうやってできたかについても大いに議論され続けてきました。
地球が誕生する際に同時に誕生したとする「兄弟説」、別の場所にあった月を地球の引力が捉えたとする「捕獲説」、さらに太古の地球が高速に回転していて、そこからちぎれて分裂したという「分裂説」などが有名な理論です。
この議論が白熱した理由が地球と月の化学組成が似通っていたこと。ならばもともとは一つの天体であった「分裂説」が有力なように感じますが、月がちぎれるほど地球が高速回転していた根拠がなかったため、決定打に欠ける状況でした。
そんな中1970年代、「ジャイアント・インパクト説」という理論に注目が集まります。

ジャイアント・インパクト説

ジャイアント・インパクト説を簡単に説明すると以下のようになります。

  • 火星とほぼ同じ大きさの天体が地球に衝突
  • 衝突した天体の大部分と地球の相当部分が宇宙空間に飛散
  • 飛散した物体が寄せ集まり月となる

これまでの理論と比べても非現実的に感じてしまいますが、現代ではこの理論が最有力であると認知されています。
この理論が支持を集める理由はコンピュータシミュレーションにて再現が可能だったこと。1980年代後半にはコンピュータが強力になっていて、様々な条件で地球に天体をぶつけることができました。するとある条件で地球の周りを月が回るようになるが判明したのです。地球と月の化学組成が似通っていることもこの理論で説明ができました。

今後もそのようなことは起こりうる?

今後地球に巨大な天体が衝突し、月のような衛星が誕生する可能性があるかと言われれば、もちろん可能性は存在します。
ただ46億年の地球の歴史の中で、月を生み出すような天体の衝突が(おそらく)1回しか起こっていないことを考えると、僕たちが生きている間に起こることはないでしょう。
(交通事故に遭う確率の方が圧倒的に高い)
現代の技術であれば火星ほどのサイズの天体が接近してくれば、衝突のかなり前の段階で判明するはずです。何かしら対策を打つ時間はあるでしょう。

あるほど遠くに見える月が地球の一部だったことは信じ難いですが、宇宙のスケールで考えると、地球と月はほとんどくっついているようなものなのでしょうね。